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週番のおかげで、以前よりは怜士と親しくなったとはいえ、放課後の時間以外では、声はかけづらかった。
休み時間の合間は、しょっちゅうスマホをいじっているせいでもある。
それで他校に彼女がいるのではないかという噂もあった。
確かに女の扱いに慣れている雰囲気はある。
昨晩のことも聞いてみたいのだが、その日に限って、なぜか校内を回る組み合わせが変わってチャンスが無かった。
麗華がトイレに行っている隙に、3組の週番の女子と、見回りに出てしまっていたのだ。
3組が週番室で待機だったのにも関わらず。
しょうがなく、残っていた3組の男子と待機だ。
じっとしているのが苦手な性分な麗華は、誰かが鞄と一緒にサッカーボールを持ってきているのをみつけた。
「田中。
パス練してよ」
3組の男子の田中とは幼稚園から一緒だ。

