「あーっ!」 奔放なだけに、大きな声を上げた。 「早いね」 耳元で囁くと、背中を叩かれた。 「今日、お稽古の日なの」 「ああ、そういうこと」 怜士は身を離した。 「お風呂、使って。 私は時間が無いから。 今日も泊まっていくでしょう?」 「今日は帰る」 「せっかく来たのに」 まだ足りないらしい。 怜士は苦笑した。 「また来るよ」 「わかったわ」 肩をすくめて、着物を直しに奥へ入っていった。