「ああ。
まあ。
似合うかもな」
「でしょ?」
相好を崩して笑うとは、こういうことを言うのか。
「じゃあ、がんばったら?
勉強」
「うん。
そうだねー。
って、家庭教師がみつかればいいんだけどね」
奇妙な沈黙になる。
「今泉さま」
「あー、わかった。
背筋が気持ち悪いから、その猫なで声はやめろ」
「わかってくれた?」
「拒否しても無駄だとわかった。
うなずくまで、その顔と声で追い回されるのを悟った。
見つかるまでだからな」
「意外とやさしいよね」
「意外は余分」
ふっと麗華が足をとめた。
通り過ぎようとした階段の上を見上げる。

