「何がだよ」
つっかかってきた。
「それ相応の、好きでもない相手と結婚するってこと?
稼がないで遊んで暮らすってこともないから。
働くってことにはならないけど、それなりに努めってあるんだ」
足音高く、去っていく。
「宮内」
立ち止まって、振り返ってはくれた。
顔はそうとう怒っていたが。
美人は怒っても様になるから得だと、悠長な状況じゃないのに思う。
「悪かった」
眉が少し下がる。
「悪かったっていう感じがしない。
でも、まあいいよ。
いつも自分の中で、引っかかっていることだし。
他人に言われて、頭に来ただけ」
怜士が隣までくるのを待っている。
並ぶとため息をついた。

