「あ、いた。
岡崎さーん、お待たせ」
運転手らしきのが頭を下げた。
「今泉、家どこ?
ついでに送ってく」
女に言われる台詞ではないような気がする。
「ああ、いい。
生憎、ついでで送ってもらう距離じゃないんだ。
間違いなく、ドライブになる」
麗華はおかしそうに声を出して笑った。
「そっか。
今日はありがと。
じゃね」
「成果を楽しみにしている」
「あー、嫌味」
怜士はひらりと手を振ると、麗華に背を向けて歩き出した。
思わぬことで、思わぬ一日になった。
まあ、こういう高校生らしいことがあってもいいだろう。
怜士は薄く笑った。

