「余計なお世話だから」
麗華は前へ顔を向け、歩き出した。
腰に腕を回していた怜士は、それに引きずられるように歩き出す。
その後から、ホテルを出るまで無言だった。
怜士がフロントで鍵を帰している間に、麗華は車を呼ぶ。
それを横目で見ていた怜士は、もう腰に腕を回して支えることはできなかった。
どこで見られるのかわからない。
ただ麗華の半歩後ろをついていく。
二人の行き先には、いつもの黒い車が夜に同化して停まっていた。
「じゃあ、気をつけて」
かつてカテキョが終わった後、車まで送ったように挨拶をする。
「じゃあね」
麗華も同じようにさらっと挨拶して車へ歩き出す。

