教えるのが上手い下手は、頭が良い悪いと関係ない。
だが怜士は教えるのも上手かった。
躓くと違う角度から理解を促し、それでもダメだと、また違う角度と、アプローチの方法が多い。
単に方法を教えるのではなく、自分で答えを導きさせるまで、とことんアプローチ方法を見つけてくる。
時間はかかるが、解けたことの満足感は大きい。
「疲れた」
取りあえず、範囲を終えると、麗華は机に突っ伏した。
「おれも」
怜士はため息をついて、冷めきったラテを飲み干す。
「でも、ありがとう。
さぞイライラしたと思いますが」
「ああ、本当にイライラしましたよ」
さらりと本音が口に出たのに、自分で驚きながらトレーを下げる。
二人で肩を並べて外に出ると、今や会社員が帰宅に急ぐ時間になっていた。

