「婚約者じゃないし。
双方の両親が、その時に本人たち次第で結婚したら?っていう程度だけど」
「親公認の仲か」
「別に付き合ってない」
「そう?」
二人が一緒なのは、しばしば見かける。
小馬鹿にしたような返答に、麗華は目を細めた。
「なんか、むかつく」
「今日、彼氏、帰り待ってなかったな」
「いつも待ってないっていうか、なんで今泉とそういう話になるんだよ」
「さあ?」
怜士は自嘲のような笑みを浮かべてから、カップを置いた。
「さ、始めるぞ。
教科書とノート開いて」
まだむっつりした顔のまま、麗華はバッグから教科書とノートを取り出した。

