重ねているだけにしては、長かっただろう。
その間だけは、自分たちの周りは無だった。
麗華の肌の匂い。
指に触れている髪のすべらかさ。
やわらかなくちびる。
どうにも弁解が出来ない長い時間の後、やっと怜士は指を離した。
離れ際に、麗華の前歯をさっと舐める。
「あまっ」
眉をしかめた。
麗華は状況についていけてないようだった。
「チョコだし」
放心したようにぼそりと呟いて、またアイスをかじる。
「いた、怜士。
探したよ」
背後からのアイーシャの声は、二人の間に流れる甘やかな空気を冷やした。
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