「満月だな」
水平線から上がり始めたオレンジ色の球体に目を細める。
「でかいねえ。
パンケーキみたいって、ほんとうだよね」
「相変わらず、食べ物に直結だな」
「ほっといて」
麗華は防波堤に腰掛けた。
「ムーンロードだよ」
アイスを持っている手で指し示す。
月の光が水面に映り、こちらに向って伸びていた。
「あの道、たどったら、どういう世界につくんだろうね」
「どういう世界?」
怜士も隣に腰掛ける。
「ああ、いいです。
その先は四国だろ、とか言われそうだから」
「メルヘンだったわけね」
「うん、おとぎの国かな~」
くすくすと笑っている。

