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怜士は授業時間の合間、自分の席で頬杖をついて目を閉じていたが、ふらりと立ち上がった。

椅子を近づけ、寄り添うように座っていたアイーシャが、問うように見上げる。


「トイレ」


短く言って教室を出た。

男子トイレに行く途中で、ある窓のところで立ち止まる。

月曜日のこの時間は、ここだ。

少し待っていると、麗華が眼下の道を体育館へと行くのが見える。

もちろん麗華は気付かない。

火曜日は4限が始まる前に、廊下に並んでいる個人ロッカーで教科書を出していれば、美術室へ行くために渡り廊下を歩いているのが見える。

水曜日は礼拝のために講堂へ移動するとき。

毎日、そのささいな積み重ねだ。