「顔が近くなった時に、条件反射でキスするから離れろって言われたことあるし、この間だって、自分の方から近づけたくせに、直前で身を引かれた」
「うわーバカ。
キスぐらいしとけばいいのに。
あいさつなんだから」
「いや、それ一枝さんだけだから。
人は、それぞれに好みのタイプってあるから仕方ないし。
私だって、美和がいくらイケメンでもタイプじゃないから、そういう意味では論外だもんね。
押されまくったら、嫌いになる」
一枝は机に頬杖をついて目を輝かせて麗華を見つめている。
なんだか面白そうな顔だ。
「でも言っといたら?
気持ち。
その方が踏ん切りつくんじゃないの?」
麗華はうっと詰まった。
「うん。そうだね、機会があったら」
「なんで、そこで小声?」
おかしそうにくすくすと笑われる。

