「くるみ割り人形なんて久々に見た。
 一枝さん、それどうしたの?」

「お土産」

「ドイツ?」

「お正月に家族旅行だったらしいよ」

「へ~、一枝さんにお土産でくるみ割り人形って似合わないねえ」

「本当だよな。
 アイスワインを持ってこいよな。
 全く気が利かない」

「誰から?」

「尚也」


これは微妙な回答。

麗華は黙り込んだ。


「で、どうすんの?
 おまえも留学?」

「へえっ?」

「だって、好きなんだろ?」

「いや、だけど。
 だって」