逃げられた。

自分の気持ちにバカだなと思いながら、駅へと歩き出す。

これは最初の壁だった。

超えた今、後は静かに進めるだけ。

裏向きを。

離れるのは一時期だけ。

怜士の視線は鋭く、見えない敵を切り裂く。

車に飛び込んだ麗華は、動き出すと肩に入っていた力を抜いた。

ちゃんと笑えていたのだろうか。

自分の頬をギュッとつまみ、それが停学の時に怜士にやられていた罰ゲームだったことを思い出して、更に落ち
込む。

噂は本当だったんだ。

クラスが違って、時間割が違ったから、時々教室異動をしている姿をみかけた。

いつも隣にいる金髪の女子。

彼女と付き合っているらしいという噂が流れていた。

昔からの知り合いなのか。

今泉の好きな女子って、彼女だったのか。

海外の大学に決めたってことは、本気なんだろうな。

留学生は1年で本国に帰る。

だから追いかけるのだろう。

金髪の美少女。

今泉はがっつり系だしね。