「小学校の先生、がんばれよ」

「もちろんよ」


パチリとウィンクされた。


「いい家庭教師がみつかるといいな」


いつものように車へ送りながら、思わず言葉が出る。

麗華との距離を急に遠く感じて、何か言葉を交わしたかった。


「そうだね」


自分の事なのに、他人事のように関心が無い口調だ。

こちらにはもう関係がないと言いたいのか。

なんとなく、麗華がもうちょっと食い下がってくるかと予想していただけに、肩透かしをくらったような、空しいような気分。


「ん、じゃあね今泉。
 また明日、学校で」


ひらりと手を振って、笑顔を向けると麗華は最後の数メートルの距離を小走りし、車の中に消えた。