「悪いが、おまえはタイプじゃない」
「そんなのどうでもいい。
ダバリードの総帥ともなれば、表向きの妻と裏の妻がいて当然。
彼女をただ猫可愛がりしていればいいじゃない。
彼女には総帥の妻が務まるだけの、お頭が足りないんだから。
今の時代、権力者にお飾りの妻では済まないの。
共に戦える妻じゃないとね」
「共に戦えるだけの知的な妻がお前?」
「そうよ」
怜士はくつくつと笑った。
「随分、自分を高評価したな。
残念ながら、その意味ではお前も足りないね。
お頭が」
怜士は言い捨てて席を立った。
胸糞が悪い。
麗華は勉強と言う点での頭は悪いかもしれないが、政治的、あるいは社会的という意味では頭は悪くないのだから。
ふと自分の考えに足が止まった。

