「どうぞ、よろしく」
微笑をして小首を傾げ、怜士の隣の席にアイーシャは座った。
怜士は冷ややかに一瞥をしただけだった。
「そっくりね。
その、人を侮蔑する見方も」
小声で言った日本語は、挨拶をしていた時よりもずっと滑らかだった。
アシーシャは自分の役割を隠す積りは無いらしかった。
怜士は鼻先で笑った。
だが理由がわからない。
逃げるつもりは無い。
逃げるなど、無駄なことをするつもりなど毛頭無かった。
なのになぜ監視など送り込んできたのか。
授業の合間に、疑問を口にする。
「監視じゃないわよ。
伴侶よ」
アイーシャは婉然と笑った。
無言になった後、思わず吹いてしまった。

