「あんな女でも、気に入ったのなら、手に入れたらどうだ?
未練を残さないように、一度ぐらい寝ておけばいい。
もっとも、こちらに来れば、直ぐに忘れるだろうが。
あらゆる女が向こうから来る」
どうでもいいことのように、そっけなかった。
この男にとって、女など足元を這い回るアリと同じだ。
そして怜士は既に十分理解していた。
いくら自分が拒否をしても無駄なことだ。
出来ることは限られている。
「高校が終わるまでは日本にいます」
「まあ、いいだろう」
男はあっさりと許可した。
怜士が主張することを、あらかじめ読んでいたのだろう。
今回の目的は連れ帰ることじゃない。
自覚、心構え、それを植えつけるためだ。
突然、その立場になったのでは操れない。
あの帝国は化け物だから。

