*
「ドーナツを食いたかったのは、宮内なんだな」
テーブルに置かれたトレイには、ドーナツとペストリーが山となっていた。
怜士は呆れ気味に呟く。
「食べたい?
いいよ、好きなのとって」
「いや、いい」
自分の分のラテを手に取り、口をつけて、その熱さに顔をしかめた。
冷めるのを待ちがてら、勉強前の腹ごしらえと言わんばかりに、せっせと食べている姿を眺める。
外見からは似つかわない、豪快さだ。
怜士は頬杖をついた。
「そのがっつく様子を見たら、みんな幻滅するだろうに」
「ふぁい?」
「手を出される前に、一緒に食事に行って、奢ってもらえ。
幻滅してくれるぞ」
麗華は指に付いたチョコをなめながら、じろりとにらんだ。

