これはデスゲームではないのだ。 同じ顔をした男たち。 それは怜士に何かあった時のスペアだ。 殺し合いが収まったのは、この男が手を打っただけ。 いや、殺し合いでさえなかったのかもしれない。 不具合、と判断し、整理したのか。 「嫌だと言ったら?」 男は低い笑い声をたてた。 背筋が冷たくなるような。 「面白いな」 「僕は。 断わる」 目が細まる。 楽しいらしかった。 「他人の女の趣味に、口を出すほど無粋ではないのだが、息子ならば許されるだろう」 男は怜士の背後の窓に一瞬視線を投げた。