「気色悪い」


麗華は駆け寄った。


「コーヒーにドーナツつける」

「体に悪そうだから、コーヒーだけでいい。
 ああ、ラテのグランデにするかな」

「もう、なんでも奢る」


しばし怜士は嬉しそうな麗華の顔を見下ろしてから、麗華の鼻の頭をぎゅっと掴んだ。


「なんか、犬に懐かれた気分」


そう言い捨てると、再び歩き出した。


「くっ」


また拳を握ったが、ここで暴力を働くとテストの点は目に見えている。

麗華は今日、何度目かの我慢をすると怜士の後を追った。