「強そうだもんな」

「なめんなっつーの。
 これでも格闘技は得意なんだ」

「で、今日はこの後、ヒマなの?」


全く話のつながりがわからず、きょとんとした。


「家に帰るよ。
 もちろん。
 車が迎えにきてる」

「セレブが」


怜士は鼻にしわをよせた。


「コーヒー1杯で、山を張ってやろうかと思ったが、それなら無理だな」


遠ざかっていく怜士の背中を見ながら、今言われたことをもう一度頭の中で反芻した。


「今泉さま!」


怜士は足を止めて、肩越しに振り返った。

嫌な顔をしている。