君塚鞠絵。

現社長の妹。

一説には、兄よりも上に立つ者の才があったとか。

女子短期大学を卒業した年に突然行方不明。

手を尽くしたが、見つからず。

怜士も改めて調べたが、それ以上は何もわからなかった。

姿を消した以降、何一つ。

時間が経ちすぎているからか。

それか、強力な権力が何も残らぬよう、痕跡を消し去ったのか。

行方不明者なんて毎年何万人だ。

全く、関係ないかもしれないし。

怜士は軽く息を吐いて、頭から追いやった。


「しかし文化祭、なにやろうねえ」

「さあねえ」

「もしもし?
クラスの一員なんだから少しは考えてよ」

「関係ない」

「うっわー」


身をのけぞらせ、呆れてる。