罰ゲームと言って始めたけど、自分が触りたかっただけ。
つねる前に、ほんの一瞬、指で頬をなぜる。
離す時に、指がくちびるを掠る。
美和が麗華のくちびるに触れたのを見てから、ずっと自分の中で、小さな青い炎になっていた。
熱くはならない。
激しくもならない。
だが決して消えない。
自分は執念深い性質だったのか。
離れた後、自分はうまく忘れられるのだろうか。
ただの思い出と出来るのだろうか。
怜士は苦笑する。
「しかし今泉も異様に頭いいよね。
普通、今日教わったことを、すぐ教えられないよ。
私が知っている中で、一枝さん並み」
「それって褒められてるの?」
「褒めてます」
「ありがとう」
そっけなく言う。

