「げ、知らない。
 抜き打ち?」

「授業中に言ってたぞ」

「聞いてない。
 最悪ー」


がっくりと首をうなだれて、足取りが重くなっている。


「おまえんとこみたいな金持ちで、カテキョついてないの?」

「ついてる。
 でも続かないんだ」

「ああ、あまりの理解度の低さに」


麗華が拳をにぎった。


「違うの?」


からかう口調に、そのまま殴るのは断念して、ジト目で見上げた。


「まあ、それもあるけどさ」


なんとなく歯切れが悪くなった。