うわ、まつげ長いな。

怜士は細いフレームのメガネをかけているから、面と向って話している分には気付かなかった。


「日本人にしては珍しいよね」


思わず言うと、視線だけよこす。

そして苦笑した。


「人を珍種みたいに」

「ほめてる、ほめてる」


どうだか、と呟いてカップを手にした。


「今泉の家は、おばあさまかお母さまが、お茶をやってるの?」

「は?」

「さっき、いいお香の匂いがした」


怜士の表情が明確に止まった。

ふうっと視線が外される。


「犬なみだな」


そっけない口調に麗華はむっとする。

なんだか凄く腹が立ったぞ。

やっぱりとっつきづらい。