いつも通りコーヒーショップのテーブルに向い合せに座って、なんとはなしに麗華を見つめる。


「夏休み中も、ちゃんと勉強してろよな」


期末試験が終わると同時に、夏休みに突入する。

麗華はバナナを咀嚼しながら、ふわあいと気の無い返事をした。


「この夏休み。
真面目にやれば大分取り返せるんだぞ」


上目づかいで、バナナをほおばっている。

すごく不安だ。

なんだかこの1学期にやったことが、全て水泡に帰す気がする。


「宮内の夏休みの予定は?」


頭痛がしてくるのに、指でこめかみを押えながら聞いた。


「えっとー、別荘行って、スペイン行って、終わり」

「優雅だな」

「そっかな」

「東京にいないなら、宿題をどっさり出すしかないな」

「え~~」

「文句言えるの?」

「言えません。
 でもさー」


ぶつぶつと呟いている。

怜士はこの帰りに本屋に寄ってドリルを物色しようと考えていると、麗華がにやっと笑った。


「一緒に別荘に行く?」