「ここ」


語尾にハートがつきそうだ。

麗華はスキップしそうな足取りでカフェテリアに入っていった。


「ラッキー」


棚に残っていた惣菜パンを掴むとレジに向っていく。


「おばさーん。
 これちょうだい」


生徒カードを端末にかざして、エラー音がした。


「麗華ちゃん。
 足らないよ。
 チャージしておいで」

「ええー」

「おごり」


怜士は後ろから身を乗り出し、自分のカードを端末にかざす。

かすかに白檀のような香の薫りがして、どきりとした。


「サ・・ンクス」

「いいえ」


麗華のうろたえた反応が面白かったのか、また口元で笑っている。