短期間だけ同じ小学校だったが、一枝の転校で別れ、つい最近再会したとか。
麗華の視線に気づいて、彼はにっこりと笑った。
兄とは違う種類の雰囲気が柔らかい人。
そばにいると、気が緩むというのか、ゴロゴロしたくなる。
乗り換えたってこと?
兄が気の毒になってきた。
だけど、簡単に乗り換えると言うことが、一枝さんには出来そうもないのに。
男遊び以外は。
「あ~わからない!」
麗華は髪の毛をかきむしった。
「麗華。
やめとけ。
頭を使うのは得意じゃないんだから」
「わかってる」
「男なんて泳がせとけ。
戻ってくるならそれで良し。
去ったならば、追うな」
「それって来るもの拒まず、去るもの追わずって奴じゃない?」
「よく知ってるじゃないか」
「えーと」
今泉は来た者ではないし、去った者でもない。
では、兄は去ったから、一枝さんは追わないって事?

