つい最近まで、自分の兄と一枝は恋仲だった。
隠していたってわかる。
叔母と甥。
もちろん許されない。
一枝さんは男のかっこをし、男言葉を話すが、中身は凄く繊細だ。
時々、壊れかけ、それを兄が支えていたのを知っていた。
兄は関係を貫こうとし、一枝さんは解消しようとしていたのは感じていた。
それで二人に亀裂が走ったのも。
何かあったらしく、兄はしばらく前から、ずっと雰囲気が暗い。
だが一枝さんは変わらないのだ。
反対にからりとしている。
別れたのなら、性格からいって、兄よりもどっぷりと沈みそうなのに。
麗華から見れば、必要も無い罪悪感の海にどっぷりと。
それにこの頃、一枝さんの所に行くと、必ずと言っていいほど、彼がいる。
麗華はそっと視線を動かした。
