「男じゃないって」

「こいつの名前は?」

「今泉怜士」

「ふうん。
 ふと一枝が眉をひそませた。

「なに?」

「ああ、いや。
 なんか似たような顔を見たことがあると思って」


口元に手を当てて首をひねる。


「どこだったかな」

「げ。
 案外、一枝さんがバーで引っ掛けたことがある、って聞いても驚かないかも」

「そんなんじゃないよ。
 もっと、違うところで・・」


黙りこくって、凝視している。


「駄目だ。
 思い出せない」


麗華にプリクラを返す。


「今度会わせてよ」

「いいけど。
 本当に、手を出さないでよ」

「へえ。
 とうとう麗華にも本気の男ができたか」

「そうじゃなくって」


麗華は言葉をぐっと飲み込んだ。