「だったら言えばいいだろ。
豪快に入れろって」
「言った。
でも料亭出身で、プライドが許さないんだって。
そんなの食えない」
「あんな弁当、食えるだけ幸せだと思うけどね」
「え?
食べたいの?
じゃあ、明日、今泉の分も頼んでおくよ」
「いや、いい。
噂を呼びそうだから」
きょとんとした顔で見上げる。
「噂?
今泉が私を恐喝したとか?」
「そうじゃない」
苦笑する。
「じゃあ、今度、お願いするよ。
とりあえず、当分はいい」
「ああ、そう」
麗華はあっさりと納得したようだ。
「それで、おれたちはどこに向っているんだろうか?」
会話をしながらズンズンと歩いていく麗華についてきて、自動ドアの前に行き当たった。

