狂愛ノ書~紅き鬼と巫女の姫~





《………こせ……血を……よこせ…》




「……え?」




なんだか寒気のする声が聞こえた。




でも振り返っても、そこには誰もいなかった。




なんだったんだろう、今の。




辺りを見回しても何ともない、いつもの風景。




「……雛ー?早くしないと遅刻するよー」




「…あ、ごめん!今いく!!」




璃々音に呼ばれ、私は校門をくぐった。




きっと空耳だよね。
朝から妖怪の話なんてしたから、意識しすぎたんだ。




この時の私は何も信じてなかったから、分からなかった。




この時から、私の中の鵺姫の力が覚醒し始めていたということに……