妖怪の世界のことは大体紅葉から聞いたけど、三篠自身のことはあまりよく知らない。




三篠は自分から話そうとはしないから、私から聞いてみた。




しばらく黙ったまま私を見ていた三篠だったけど、やがて月を見上げながら話してくれた。




「…今の妖王は純妖で、混妖を見下し差別している。
そのせいで純妖と混妖は今、睨み合ってる状態だ。
俺はそんな世界を終わらせて、純妖と混妖が平等に平和に暮らせる妖怪の世界を作りたいんだ。混妖達がこれ以上傷つくのはみたくない…
そして混妖の力を純妖達(あいつら)に見せつけて、俺は妖王(あいつ)を消す、この手で」




三篠はギュッと力強く手を握った。




純妖と混妖が平等に暮らせる世界……
そんな未来を目指して、三篠は戦ってるんだ。




今の妖王を消すって言った時、三篠の口調は他の言葉よりも強かった。




今の妖王はそんなに悪い人なの?




今の妖王を消さないと、三篠は妖王になれないの?




戦いのない、平和なやり方で解決出来たらいいのに……