狂愛ノ書~紅き鬼と巫女の姫~





「…小雛の受け継いだ能力は、千里眼なのかい?」




琴葉さんの問いに、私は頷いて答えた。




「敵がどのくらいの数でどこからやってくるのか分かってれば、それに備える作戦も考えられるし、いきなり戦うよりも心の準備とかも出来ると思うんだけど……」


「…なるほどね。それはいいかもしれないね」




人間の私が口出すのはどうかと思ったけど、意見を言ったら瑠璃葉が乗ってくれたし、蜜葉もコクコク頷いてくれている。




琴葉さんと桔梗さんは顎に手を添えて、考えている。




そんな二人を見ていると、隣にいた三篠に勢いよく両肩を掴まれた。




「その能力は確かに使えるかもしれないが、お前の体にかなりの負担がかかるんだぞ!?
力を使ってもし小雛が傷ついたとしたら…俺はそんなの耐えられない……!!」




三篠なら、きっとこう言うと思った。
琴葉さんも桔梗さんもそう思ったから、考え込んでたんだ。




…三篠、私はね?




「私はただ守られるなんて嫌なの。
千里眼っていう力があってそれを使うことが出来るんだから、私はその力を使って三篠が守ってるものを一緒になって守りたいの」




それに私がこの道を選んだのは、三篠と並んで歩いていくためなんだよ。




それなのに三篠が私を守って死んでしまったら、意味ないんだよ。
三篠が私の隣からいなくなることが、世界が消えてしまうことよりも怖いんだ。




今にも泣きそうな顔をしている三篠の頭を優しく撫でる。




「…だから私にも守らせてよ、三篠や三篠の守ってるものを」




ね?
そう言って笑うと三篠は目を見開いて驚いていたけど、やがて困ったように眉をハの字にして微笑んだ。




「…こりゃ、驚いた」




完全に二人だけの世界に入っていた私は、琴葉さんの言葉で我に返る。
そして辺りを見回すと、琴葉さんと蜜葉がポカンと口を開けてこっちを見ていた。




今までのを見られていたと考えると途端に恥ずかしくなり、私は慌てて三篠の頭の上に乗せていた手を下した。




「…三篠が女の言うことを素直に聞くとこなんて、初めて見たよ」


「…私もです」




二人は信じられないものを見ているかのような表情を浮かべている。




…三篠って、私と出会う前はどんな人だったんだ……