狂愛ノ書~紅き鬼と巫女の姫~





それから蜜葉に連れられて、この国の中心に建っている一番大きな遊郭に入った。




そこは和風な感じを残しているけど、どこか西洋な感じもある。




移動中、瑠璃葉と蜜葉のことを聞いた。




二人は何でも話し合える親友で、腕を競い合うライバルなんだとか。




いつも何かと勝負して、でも勝つのはいつも瑠璃葉らしい。




一番の勝負はどちらが先に結婚するかという勝負。
当然勝ったのは海似さんという旦那がいる、瑠璃葉。




蜜葉は先に結婚されたことが一番悔しかったと言ってて、つい笑ってしまった。




廊下を歩いて階段を上って、また廊下を歩く。
さっきからその繰り返しで、目的地が見えない。




「…ねぇ、私達はどこに向かってるの?」




さすがに足が疲れてきて、蜜葉に尋ねる。
余裕の表情を浮かべる蜜葉は淡々と答えてくれた。




「…ここの最上階にいる私ら、毛倡妓の長のところよ」




毛倡妓の長……
長になる人って、その一族の中で一番強い人だよね?




今まで妖怪はたくさん見てきたけど、純妖のそれも一番強い長を見るのは初めて。




まだ会ったわけじゃないのに、緊張して背筋を伸ばす。




緊張してるといつの間にか目的の場所に到着。




「…三篠様、桔梗様、鵺姫様、そして瑠璃葉をお連れしました」


『…入りな』




襖の奥から綺麗な声が聞こえた。
蜜葉は片膝をついたまま、ゆっくりと襖を開けた。




その部屋は通ってきたどの部屋よりも大きくて、豪華な造りになっていた。
電気がシャンデリアみたいになってる…




そして視線を電気から奥にいる人物に向ける。
肘掛けに肘を置き扇子で優雅に顔を扇いでいるのは、サラサラの畳を引きずるくらいに長い黒髪に妖艶な笑みを浮かべる女性。




さっきの遊女の方達とは比べるまでもないと思ってしまうほど美しかった。




そして何よりも感じるオーラのようなものが全然違う。




「…やぁ、よく来てくれたね三篠」


「あんな密書が届いたんだ。来るに決まってるだろ」




三篠の言った言葉に女性は「それもそうだな」と潤った薄い唇を広げ微笑む。




「…梗坊はまた随分と大人っぽくなったな」


「その呼び方やめてくださいと何度言えばいいのですか」




桔梗さんをからかうように女性は、ニヤリと笑う
梗坊って、桔梗さんにそんなあだ名あったんだ。




桔梗さんは梗坊と呼ばれて嫌そうな表情を浮かべた。




彼女はゆっくりと立ち上がると、私に向かって歩いてきた。




私の目の前までくると、彼女は立ち止まり私の頬に触れた。




「アンタが鵺姫だね?
アタシは琴葉(コトハ)。この胡蝶ノ国を治める毛倡妓の長さ」