それから三篠と今日あったことを互いに話し合った。




会話は止まることなく続いていた時、




「三篠様!」




さっきの恋をする女の子のような表情とは打って変わり、慌てた様子の瑠璃葉が蛇の脚を器用に使ってやってきた。




「…どうした」




慌てた瑠璃葉に何かを感じたのか、三篠は優しい目つきが鋭いものに変わった。




瑠璃葉は上がった息をその場で整え、懐から紙を取り出した。




「…胡蝶ノ国の母様からの密書が届いたんだ!中を確認しておくれ」




三篠が瑠璃葉から受け取った紙は人間界でいう習字に使う紙みたいなので、そこには筆で『三篠様』と書かれていた。




三篠は即座に紙を開いて、灰色の瞳を上下に動かす。
その瞳は一瞬だけ見開くと、次には鋭くなっていた。




「…み、三篠様…密書にはなんて書かれてたんだい?」




瑠璃葉は恐る恐る三篠に尋ねた。
三篠は密書を自分の懐にしまい、立ち上がった。




「…『妖王から重大は情報を得た。胡蝶ノ国に参られよ』と書かれた。今すぐに胡蝶ノ国に向かう。
瑠璃葉、火車の準備を」


「分かった!」




瑠璃葉はコクリと頷くとまた急いで駆けていった。




緊急事態なのかな?
とにかく三篠の目つきが鋭いところから見て、そうなんだと思う。




きっと私はまた留守番だよね。




いってらっしゃいと言おうとすると、三篠はこっちを向いて手を差し出してきた。




「…お前も来い、小雛」


「え、私も?」




奇想天外の言葉に、私はポカンと口を開け自分を指差した。




とりあえず三篠の手をとって立ち上がる。




「…いずれお前に紹介しておこうと思ってたんだ。いい機会だからお前も連れて行く」




色々と聞きたいことがあるけど、緊急事態みたいだからコクリと頷いて肯定した。




そして私は三篠の後をついていった。