「…こうして姫様と一度、お話ししてみたいと思っていました」
「…え?私、と……?」
自分を指差すと、海似さんは微笑んでコクリと頷いた。
「姫様のことは瑠璃葉からよく聞かされていました。
自分とお風呂に一緒に入ろうとしてくれたとか、自分に料理を教わりに来たとか、鵺姫だし人間だから堅苦しい奴かと思ったけど誰とも仲良くしようとしてるいい姫様だと言ってました。
瑠璃葉は人を見る目がありますから、こんなに誰かのことを褒めるのは珍しいんですよ」
海似さんは目を細め、空を見上げた。
その表情は愛しい人を思い浮かべているよう。
瑠璃葉は海似さんにそんなこと言ってたんだ。
六臣のみんなが私のことどう思ってるかなんて聞いたことなかったから、なんだかむず痒い。
「私はただみんなと仲良くしたくて、その時に瑠璃葉が一番親切に接してくれたんです。
だからこれを機にもっと仲良くなろうと思ってお風呂に誘ったんです。お風呂は残念ながらダメでしたけど」
あの時は後の桔梗さんが怖くて断られてしまった。
でもリベンジとして料理を教わって、一緒に作れたから、お風呂はひとまず保留。
なんて思いながら縁側に座り足をパタパタを動かす。
すると海似さんはクスッと笑った。
笑われた理由が分からず首を傾げ、海似さんを見る。
「…なるほど。
瑠璃葉があんなにも褒める理由が分かる気がします。
姫様とお話ししてると姫様の人の良さが伝わってきます」
「え、私そんないい人じゃないですよ!?」
慌てて手を振って否定する。
海似さんほど私はいい人じゃないと思う。
私の言葉に海似さんはすぐに首を横に振って否定した。
「そんなことありませんよ。
まだお会いしたばかりでこんなこと言うのもあれですけど、姫様はすごく明るく妖怪だろうと子供だろうと誰にでも優しく接してくださる。
三篠様が惚れるのも分かる気がします」
三篠という言葉が出てきてつい顔が熱くなる。
顔が赤くなった私を見て海似さんは「姫様は分かりやすいですね」と笑った。



