狂愛ノ書~紅き鬼と巫女の姫~





手が…!手が出てきた……!?




その手から徐々に誰かが鏡から出てきた。




これが初めてだった。
初めて会った人に見惚れたのは。




金の胸辺りまであるサラサラの髪。




鋭い目は灰色でとても澄んでいる。




着物の胸元を開けたところから見える、程よい筋肉。




そして何よりも、私に絡まった細く長い指がとても綺麗。




この世の人とは思えないほどにその人は美しかった。




「……小雛……会いたかった……」




もう片方の手が私の背中に回り、私はその人に抱き締められた。




「……え、あの…ちょっと…」




抱き締められて、どうしていいか分からない。




なんだか久しぶりに再会して、互いを確かめ合う恋人みたいな抱き締め方…




しばらく抱き締められてると、その人は私から少し離れた。




すると次にはその人の顔が近付いてきた。




え、え、えぇ!?




「…ちょ、ちょっと!」




慌てて胸を押し返す。