「…あんな簡単な説明で、全員覚えたのか?すごいな」
「わっ!」
いきなり聞こえた声に、肩を震わせる。
振り返るとそこには優しく微笑む三篠がいた。
「み、三篠!?なんでこ……!」
「大きい声を出すな。桔梗にバレるだろ」
ビックリして大きい声を出すと、三篠に口を手で覆われた。
それによって私の言葉は途中で止まった。
桔梗さんにバレるってことは、内緒で来たのかな?
「残りの仕事を片付けて、桔梗に隠れてここに来たんだ」
私が思ってることが伝わったのか、三篠は疑問に答えてくれた。
三篠って結構やんちゃなところあるんだね。
どちらにしても三篠が来てくれて、嬉しいことには変わりない。
なんて思いながら笑っていると、三篠は胡座をかいた膝の上に私を乗せ、抱き締めてきた。
「……三篠?」
いきなりどうしたのだろうかと三篠を見上げると、三篠は目を閉じて私の髪に顔を埋めていた。
その姿はまるで私の存在を確かめるかのよう。
「…もう寝てるのかと思って忍び込んだのに、六臣のことを覚えていたとはな」
お前はすごいな。
三篠は頑張った子供を褒めるように、優しく頭を撫でてきた。
私はすごくなんかないよ?
だって…
「私は三篠が大切にしている人達を大切にしようと思っただけだよ?
そんなの当たり前でしょ?」
平然と言う私に驚いたのか、三篠は目を見開いてこっちを見ている。
やがて目を細めると、「ったく、これだから好きなんだよ」と言って力を込めて抱き締められた。



