「…おじいちゃん今、月が紅いって言ったよね?」
「んん?あぁ、言ったが」
安心した。
月が紅く見えるのは私だけじゃなかった。
でもおじいちゃんも紅く見えるってことは、幻覚じゃないってことだよね?
紅い月……
今までこんなことなかったのに。
手を止めて紅い月を見上げてると、パシンッと背中を叩かれた。
「…ボケッと月を見とらんで、本殿の中でも掃除してこい!」
うわっ、いつも本殿はおじいちゃんが掃除してるのに!
人に仕事押し付けた!
時々おじいちゃんは仕事を人に押し付ける。
最悪だ。
これ終わったら家でゆっくりしようと思ってたのに。
私は仕方なく本殿の中に入った。



