狂愛ノ書~紅き鬼と巫女の姫~





「…姫様は今日この国のことや六臣のことなど、一度にたくさんのものをご覧になりました。なので表には出してませんが、疲れているはずです。
今晩は、休ませてあげて下さい」




さっきの怒った声音とは違い、優しくそして私を労わる言葉に三篠は渋々私から離れた。




私なんてただ三篠と街を見て、六臣のみんなと顔を合わせただけ。




三篠や桔梗さんの方が疲れているのに。




それなのに二人は私の体調を優先してくれる。




「私は姫様を部屋へ案内しますので、三篠様は先に仕事をなさっていて下さい」


「…分かった。小雛、今日はゆっくり休め」




おやすみ
三篠はそう言って私の瞼に口付けを落とした。




三篠と行く方向が同じ深寿さんはおやすみなさい小雛様と言って、三篠と歩いて行った。




私は二人の背中が小さくなるまで見つめ、桔梗さんに部屋へと案内してもらった。




「…三篠はいつもあんな感じなんですか?」




桔梗さんの後をついて行きながら、ふと思ったことを聞いてみた。




桔梗さんは深くため息をついてえぇと肯定した。




「姫様のこととなるといつも譲りませんよ。ですが姫様のご体調のことを仰れば、すぐに諦めます」




このことは三篠様には内緒ですよ?
桔梗さんは人差し指を口に当てて微笑んだ。




なるほど。
だから私のことを心配するようなこと言って、三篠を仕事に戻らせたんだ。




そのためとはいえ、桔梗さんや三篠が私のことを心配してくれたと思うと嬉しかった。