涙で腫らした瞳は真摯に希緒を見詰め、花奈は目の前でただ驚いたように目を丸くする女性を見据えた。


「センパイだけが好きなんて、そんな、そんなことないです!! 大体っ、先にセンパイに告白したのは私ですっ!!」


声を荒らげながらも紡がれる言葉に、希緒は息を飲む。その姿は今まで見たどの少女よりいじらしく、扇情的だった。


「私が、私がセンパイと離れて平気な訳ないでしょう!? 私がそんな薄情な、淡白な人間に見えるんですか!? センパイから見た私は、そんな非情に見えてたんですか!?」


今にも泣き出しそうな声で言う少女は、希緒を見据えたまま視線を外そうとしない。


「・・・センパイだけの気持ちだと、思わないで下さい。……離れて寂しいのは、私もなんですから」


一筋、少女の頬に涙の筋が通り希緒は息を飲む。堰を切ったようにとめどなく溢れる涙を拭おうともせず、花奈は言葉を続けた。




「希緒センパイ、好きです。……この世でいちばん何よりも、誰よりもセンパイのことが好きです。愛しています」