「みんな、遂に明日が文化祭本番だからね」


舞台中央に立つ修弥は言うと、メンバー一人ひとりに目配せをする。


「失敗してもとちっても、アドリブで続けて、悔いの残らない文化祭にしよう」


2年生(或いは3年生)にとっては、これが最後の文化祭。それだけに修弥の話はいつにも増して力が入っていた。


「・・・じゃあ、今日は此処で解散。明日は朝イチで大ホールに集合、本番前最後のリハです」


敷地内にある小ホールでの通し稽古だった今日は、本番さながらの様子で練習をした。照明こそなかったものの、音響も演出も完璧に計算されていて、一同は明日の本番が楽しみになる。


あの日、花奈と気まずい雰囲気で別れた希緒は彼女と距離を取って練習に望んでいた。


「……希緒、ちょっといい?」


帰り仕度をし、いざ帰ろうとしたところを修弥に呼び止められる。


「どうしたの? ・・・団長」


からかうように言った言葉は修弥の真剣な眼差しに貫かれ行き場を失くした。


「それと花奈も、話があるんだ」


真剣な声音で言われ、花奈も呆然とする。


「ふたりには、言っておきたいことと、言わないといけないことがあるんだ」