そう。願うことしか出来ない無力さが

付きまとっていた。



事件、事故などが事前に解決されたら、

どれ程いいのだろう。



いつも事件が起きてから行動に移すこと

よりも、事件が起きないように対策を練

ることのほうが、どれ程価値があるだろ

う。




それは、雪のいる職場に限ったことでは

無い。

全てに言える事であった。



そんなことを考えると、いつも雪は深い

悲しみに立ち、過去の思い出が閉ざした

引き出しから、ゆっくりと顔を出そうと

する。



その度に思考を切り替えて、また引き出

しにそっとしまう。



辛い過去を思い出さないように……


もう悲しまなくて済むように。