「…っていうか、紗姫は用意しないのか?今日も会社あるんだぞ?」
「あ…忘れてた!」
菜月くんに言われ、慌てて用意を済ませる。
「俺、先に行っとくぞ?」
「ちょ、ちょっと待って!」
急いでスーツをハンガーから外し、着る。
「お待たせ!」
「全く…。酒にも朝にも弱いって、何に強いんだよ…。まぁいいか。行くぞ、紗姫。」
「うんっ!」
靴をはき、ドアを開ける。
「そういえば、菜月くんって昨日どうしたの?」
「俺?俺は眠かったから、そのままあそこでダウンしたけど?」
「え…?」
頭の中を、一瞬だけピンク色の妄想が駆け抜けた。私は慌ててそれをかき消した。
「あ、そうだったんだ…あはは…。」