そうしていると、隆雄様が私の大きくなり始めたお腹に触れる。

「もうそろそろか?」

「まだ早いですよ」

「だが……」

「楽しみな気持ちはわかります。ですがもう少し待ってください」

「お前はいつもそう言ってばかりだ」

「ふふっ」

不満そうに言う隆雄様の頭を撫でてなだめる。
私の身体に回る腕の強さが増した。

「お前は誰にも渡さない。たとえ、俺とお前の子だとしてもだ」

「子どもにまで嫉妬しないでください」

腕の中で身を翻し、私の旦那様を正面からぎゅっとする。

「大丈夫です、私はここにいますから」

「……ああ」

しばらくそうしてから、静かに身を離す。

「子供の名前、考えないとな」

私のお腹を優しいまなざしで見つめながら、彼はぽつりとつぶやいた。

「そうですね。何にしましょうか」

「お前は何かないのか?」

「私は………『は』とか『す』をつけたいですね」

『はづき』や『すみれ』なんか、かわいいと思います。
考えて、微笑んでいると、隆雄様が閃いたようだ。

「じゃあ『あいす』なんてどうだ」

「『あいす』ちゃん、ですか……」

「『愛』の『巣』と書いて『愛巣』いい名前だろう。ラブラブな俺たちにぴったりだ」

隆雄様は満足そうに何度も頷いている。
『愛巣』とてもかわいくていい名前だわ。

「決まりだな。『愛巣』お父さんとお母さんだぞ」

早速決まった名前を、触れながらお腹の中に向かって呼びかける隆雄様。
それに返事をするように、お腹の中がとんと動いた。

「あ……」

気付いた私と隆雄様が同時に声をあげた。

「今………」

「ああ」

隆雄様に肩を抱かれ、顔を見合わせ微笑んだ。