わめく御曹司を黙殺して、近くのファミレスに入る。
「何名様ですか?」
「2名です」
「お好きな席にどうぞ」
微妙な時間だからか、人はまばらだった。
隅のほうを選び、御曹司を座らせる。
私は向かいに腰を落ち着けた。
水とおしぼりを持ってきた店員さんが去ってからメニューを開く。
無難な価格に落ち着いた。
「おい、なんでこんなとこに……」
「服なんてもらえませんよ、しかもあんなに高い」
「俺が良いって言ってんだから良いだろ」
「それが隆雄様の稼いだお金なら文句は言いませんとも。親の金をこんなことのために使うな、もったいない」
「祝前ならもらっとけよ」
「すみません、これひとつください」
私はメニューを指差し、注文する。
「おい、聞いてんのか」
「ここは私が出します。安心してください、草薙邸の使用人としてもらった正当な報酬ですから」
にこりと笑って少し前のことを思い出す。
強制連行されている途中、すれ違ったメイド頭ミスズさんに財布を持たされたのだ。
車の中で確認すると、中には数枚の一万円札と、手紙が入っていて。
『きっと必要になるでしょう、これまでのお給料の一部です。お受け取りください』
彼女はこうなることが分かっていたのでしょう。
だったら御曹司の奇行を止めてください。
出来ないとはわかっていても、思わずにはいられなかった。
でもそうなったら、同じくらいの歳の人と一緒にファミレスなんて体験できなかっただろうな。
そう思うと憎めない。
「お待たせしました、ジャンボパフェでございます。ご注文は以上でよろしいでしょうか」
「はい」
「ごゆっくりどうぞ」
店員さんが一礼し背を向ける。
姿が見えなくなってから正面を向くと、目を丸くした御曹司がいた。
「………なんだ、これ」
「パフェ」
私はケースからスプーンを取り、アイスをすくう。
「こんな大きいの、初めて見た」
「まあ、5人用だしね、朝食べてなかったから丁度いいでしょ。……あ、おいしい」
普通のバニラアイスだけど、久しぶりに食べるといいわー。
御曹司も私の真似をして、パフェに手を付けていった。
「何名様ですか?」
「2名です」
「お好きな席にどうぞ」
微妙な時間だからか、人はまばらだった。
隅のほうを選び、御曹司を座らせる。
私は向かいに腰を落ち着けた。
水とおしぼりを持ってきた店員さんが去ってからメニューを開く。
無難な価格に落ち着いた。
「おい、なんでこんなとこに……」
「服なんてもらえませんよ、しかもあんなに高い」
「俺が良いって言ってんだから良いだろ」
「それが隆雄様の稼いだお金なら文句は言いませんとも。親の金をこんなことのために使うな、もったいない」
「祝前ならもらっとけよ」
「すみません、これひとつください」
私はメニューを指差し、注文する。
「おい、聞いてんのか」
「ここは私が出します。安心してください、草薙邸の使用人としてもらった正当な報酬ですから」
にこりと笑って少し前のことを思い出す。
強制連行されている途中、すれ違ったメイド頭ミスズさんに財布を持たされたのだ。
車の中で確認すると、中には数枚の一万円札と、手紙が入っていて。
『きっと必要になるでしょう、これまでのお給料の一部です。お受け取りください』
彼女はこうなることが分かっていたのでしょう。
だったら御曹司の奇行を止めてください。
出来ないとはわかっていても、思わずにはいられなかった。
でもそうなったら、同じくらいの歳の人と一緒にファミレスなんて体験できなかっただろうな。
そう思うと憎めない。
「お待たせしました、ジャンボパフェでございます。ご注文は以上でよろしいでしょうか」
「はい」
「ごゆっくりどうぞ」
店員さんが一礼し背を向ける。
姿が見えなくなってから正面を向くと、目を丸くした御曹司がいた。
「………なんだ、これ」
「パフェ」
私はケースからスプーンを取り、アイスをすくう。
「こんな大きいの、初めて見た」
「まあ、5人用だしね、朝食べてなかったから丁度いいでしょ。……あ、おいしい」
普通のバニラアイスだけど、久しぶりに食べるといいわー。
御曹司も私の真似をして、パフェに手を付けていった。