「それにしてもほんときれい…」
空に向かって発したあたしの声は、暗闇の中に吸い込まれていく。
もう一度"きれい"と呟いたその時だった。
「ほんま、きれいやんなぁ」
「…え」
突然、横から降ってきた声に驚き、隣に視線をやる。
そこに立っていたのは、
「でも、お姉ちゃんも雪に負けへんくらいきれいやで」
聞きなれない関西弁をしゃべる、あたしと同じ年くらいの男の子。
175㎝はありそうな高い身長、少し幼さは残っているものの男性な顔つきをしている彼は、あたしを見下ろして微笑んでいた。
「あの…、誰?」
「俺? 矢沢彪摩」
「矢沢彪摩…」
彼が言った名前を繰り返すと、"矢沢彪摩"は人懐こい笑顔を浮かべた。
