あたしだけの王子様。


「………雪」



空を見上げて、小さく呟く。



暗い夜空に突然降り注いだ白い雪に、周りの人々の歓声が上がった。



「東京で雪降るなんて珍しいな」


スマホを取り出し街の風景と夜空ウィバックに輝く雪を数枚撮る。



きれいに撮れたのを確認してから、ベンチに腰掛けて、夜8時を過ぎた渋谷の街を行きかう人々を眺める。


今日は普段よりもカップルが多い。



…そりゃそうか、と一人納得する。


だって今日は聖なる夜…クリスマスだから。



肩を寄せ合い雪を眺める彼らは、ほんとに幸せそうで。



それに比べて、あたしは不幸だ。



なんでこんな特別な夜…しかもホワイトクリスマスに一人でいるのか。



思い出すだけでも嫌気が差し、首を横に振って考えるのをやめた。